【アイマスエキスポ】同人誌頒布は「2段飛ばしぐらい踏み込んだ企画」波多野公士氏に聞く狙いと今後の意気込み
「アイドルマスター」シリーズの新イベント「THE IDOLM@STER M@STER EXPO」(アイマスエキスポ)が12月14日と15日の2日間、幕張メッセにて開催中。ここでは初日の14日に弊誌が実施したバンダイナムコエンターテインメント 765プロダクションゼネラルマネージャー・波多野公士氏のインタビューをお届けする。(取材=さとうかずや、写真=編集統括/吉岡)
「アイマスエキスポ」は「みんなで“アイ”を集めて みんなでつくる、みんなのための 一大アイマスイベント」をコンセプトに、アイドルマスター史上初の“あらゆるものが集まる”イベントとして開催。ライブ、物販、飲食、展示会などの催しはもとより、同人誌など自主制作物の展示・頒布やコレクション類の展示といった個人による催しまでが同じ会場・同じ日程に一度に集まるイベントとなっている。
そんなイベントのさなか、波多野氏には2024年の振り返りから「アイマスエキスポ」を開催する狙い、さらに2025年に向けた意気込みを伺った。
今年の「アイマス」を振り返って
――まず年末ということもありますので、2024年の「アイドルマスター」を振り返って、印象に残ったトピックスや大きな出来事について教えてください。
波多野氏(以下略):本当にたくさんありますね。「アイドルマスター シャイニーカラーズ」のTVアニメを放送したこと、「vα-liv(ヴイアライヴ)」の3人が全員正式デビューできたこと、「学園アイドルマスター」がリリースされ、たくさんの方に遊んでいただいていることですね。ほかにも、「アイドルマスター シンデレラガールズ」については、「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(デレステ)が10周年となり、「アイドルマスター SideM」も同じく10周年を迎えました。2023年になりますが「アイドルマスター ミリオンライブ!」も10周年となっており、各ブランドで節目となる年が固まっていたと感じています。
また、2024年は20周年イヤーの始まりでもあります。それを踏まえて、20周年イヤーにおいてはお世話になってるプロデューサーさん(※「アイドルマスター」シリーズのファン)たちに会いに行きます、と打ち出しました。各ブランドのライブイベントについてはツアーとして増やしたり、「アイマス、アイに行きマス!」と題して、全国のショッピングモールを巡回するイベントも展開しまして、実際にキャストや制作陣が会いに行ったりと、感謝を伝えるような機会を増やしましたし、そのことが印象的でした。
――2022年末に、シリーズ20周年とその先の未来に向けた「PROJECT IM@S 3.0 VISION(サードビジョン)」を発表しております。それから約2年というところで、こちらについても取り組みや感じていることはありますでしょうか。
(当時)いくつかの柱として発表したなかに、作中のアイドルたちの活動の可能性を広げ、ゲーム領域に閉じないアイドル活動を目的とする「“MR”-MORE RE@LITY-プロジェクト」(MRプロジェクト)があったかと思います。
今回の「アイマスエキスポ」における「LIVE SHOWCASE AREA」もそうなのですが、アイドルたちのライブパフォーマンスステージについて、立ち上がりを見せているところがあります。また、各自治体やライセンスパートナーとのアライアンスがさらに広がっていることも感じています。アイドルたちが現実世界で活躍する場が広がっているというとこですし、それをより実感しています。
――私も天海春香のステージ(「M@STER EXPO LIVE SHOWCASE HARUKA AMAMI SOLO LIVE “START”」14日開催)を拝見しましたが、本当に春香が歌っているように感じるぐらいですし、プロデューサーのみなさんも本当に盛り上がって楽しんでいる光景が印象的でした。
やはり実在感というのが大切ですし、それを感じていただけたのでしたら嬉しいです。私自身も楽しかったです。
実は15周年頃から模索していた「新たな試み」苦労と反響は?
――「アイマスエキスポ」については、これまでシリーズとしてさまざまなイベントがありましたけども、新しい試みかと思います。特に同人誌など自主制作物の展示や頒布について、公式側で場を提供するというのが、かなり踏み込んでいるように感じます。
「アイマスエキスポ」自体がかなり挑戦的で、ファンメイドといったCtoC(※Consumer to Consumerの略で、個人間取引を意味する)に踏み込んだものと言えます。やはりレギュレーションの設定などが難しい部分で、自由に活動していただきたいという気持ちと、ブランドの価値を担保する役割のなかで、せめぎ合いがありました。主に梅木(※「アイマス」シリーズのイベントを統括している梅木馨氏)を筆頭として、このあたりの調整にすごく苦労していました。
これまでの取り組みにおいて、ライブイベントにおける“のぼり”のデザインをプロデューサーのみなさんから募集し参加できる機会を用意したり、ジェイアール東日本企画との取り組みで、企業ではなくファン同士でアイドルの誕生日や記念日などをお祝いする応援広告が掲出できるようなスキームを整えたりしました。こうしたプロデューサーのみなさんが創作活動で参加できる領域を少しずつ広げてきましたが、今回は2段飛ばしぐらいに踏み込んで実施したと思います。
振り返ると、この企画は15周年ぐらいのときには出ていたものです。ただ、当時は現実的な問題として難しいところもありました。改めて20周年というタイミングで、みんなの“アイ”を集める場所、そしてこれからも続いていくことを示すという意味では、ここでできたのがよかったと思います。
――会場をご覧になって、率直な感想を教えてください。
全ての会場をまわりましたけど、プロデューサーさんの熱量と愛の深さに背筋が伸びる思いです。
「今までやったことないようなイベントも準備している」今後に意気込み
――会場では制作陣の方がプロデューサーさんに声をかけられたり、挨拶の順番待ちの列ができるような光景も見かけられました。
本当に声をかけていただく方も多く、名刺交換もせていただいて、制作陣も楽しんで参加させていただいております。
――2025年は20周年を迎える節目の年になりますけど、そこに向けた意気込みや展望などがありましたら教えて下さい。
20周年を迎えることの役割として、ここまで20年の活動において、プロデューサーさんたちに感謝を伝えることがテーマとしてあります。そしてもうひとつ、「アイドルマスター」はチャレンジをし続けてきた作品でありますので、20周年を超えてもチャレンジする姿を失わないように、そして加速させていけるように前を向くということの2つが大事だと思ってます。
前者は先ほどお話しましたので、後者について触れると、今までやったことないようなイベントであったり、施策についてもさまざまなものを準備しております。年末の配信(※12月27日19時から配信予定の「オールアイマス大感謝祭 ~2025年までもう待てない!生配信~」)では、いつもの年末配信とは形態を変えて、さまざまな情報をお届けしたいと思っております。
■波多野 公士(はたの こうじ)株式会社バンダイナムコエンターテインメントAE事業部 765プロダクション ゼネラルマネージャー2009年株式会社バンダイナムコゲームス(現 株式会社バンダイナムコエンターテインメント)入社。アプリゲーム開発、ビジネスデベロッパーを経て2018年より新規事業、イベント制作担当へ、東京ドームにて実施されたバンダイナムコエンターテインメントフェスティバルのプロデューサーを担当。2021年に設立された巨大4面LEDとXR設備を備えた自社スタジオ「MIRAIKEN studio」の全体統括とプロデュースを担当。2022年より第3IP事業ディビジョン(現 AE 事業部)765プロダクションゼネラルマネージャーに就任。