アニメ『七つの魔剣が支配する』田丸篤志&貫井柚佳が語る魅力とアフレコ裏話 気になるキャラクターに「これは悩む……」


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「このライトノベルがすごい!2020」(宝島社刊)文庫部門・総合&新作ダブル1位を獲得した電撃文庫の「七つの魔剣が支配する」のアニメ化作品が、アニメ『七つの魔剣が支配する』としてTOKYO MX・BS11ほかにて毎週金曜日24時30分より放送中。

この度放送を記念してアニメ『七つの魔剣が支配する』にてキャストを務める田丸篤志(オリバー=ホーン役)さんと貫井柚佳(ナナオ=ヒビヤ役)さんのインタビューが行われた。

キャラクター原案・ミユキルリア先生からのアニメ放送記念描き下ろしイラスト

オリバーは面倒見が良く、ナナオは真っ直ぐ

――初めて本作に触れた際の印象を聞かせてください。

田丸篤志さん(以下、田丸):もともと、魔法世界を舞台にしたファンタジー作品が大好きでした。この『七つの魔剣が支配する』もイラストや第1話の冒頭を見て「ワクワクする作品だな」と思ったのですが……読み進めていくと、主人公が“ある目的”を持って、舞台となる「キンバリー魔法学校」に入学していたり、魔法使い特有の一生かけて成し遂げたい野望を持ったキャラクターがたくさんいたり。ただ楽しいだけではない、シリアスも上手く融合されている作品だと思いました。

貫井柚佳さん(以下、貫井):私も魔法ファンタジーが大好きです!いつか魔法を使いたいと思っています(笑)。『七つの魔剣が支配する』は、私も田丸さんと同じく、冒頭の魅力的な魔法学校の世界観や魔法生物にワクワクしていたら…想像以上にダークな物語が広がり、驚くと同時に更に引き込まれていく作品だと感じました。作品においての重要なキーワードとなっている「魔に呑まれる」とは一体何なのか……。怖いと思いながらも独特な世界にどんどん読む手が止まらなくなりました。また、中二心くすぐるセリフや呪文がたくさんあって、そこもワクワクぞくぞくします!

――魔法や呪文は夢ですよね。使えないとしても、セリフとして言ってみたい!

田丸:ありがたいことに、声優という職業に就いていると、魔法や呪文を使う機会が多いです(笑)。貫井さんと同じく、いつか実際に使えるようになってみたいと僕も思います。

――先ほど田丸さんは、「オリバーが“ある目的”を持ってキンバリー魔法学校に入学した」とおっしゃいました。物語が進む上で重要なポイントとなってくるところですが、先の展開を知った上で演じたのでしょうか?

田丸:これに関しては、作品・キャラクターによりますね。先を知ってしまうことによって演技に余計な感情が入ることがあるので、「知らない」を表現するためには、知らない状態で演じた方が良いと思っています。今回のオリバーの場合は、いろんなものを抱えて学校に入学してきたという前提があるので、先を知った上で演じた方が良いと思いました。

――そんなオリバー、またナナオの印象は?

田丸:オリバーは面倒見が良く、人への思いやりを持った少年です。大人びた雰囲気は纏っていますが、すごく優秀というわけではない、この作品に出てくるキャラクターたちと比べると「普通の少年」という言葉がピッタリなのではないでしょうか。しかし、それは表向きのオリバー。先ほども言ったように、目的を持って学校に入学しているという裏の顔があります。そこだけは唯一普通ではない部分ですね。

貫井:ナナオも二つの顔……ではないですが、無邪気な表情を見せたかと思いきや戦闘シーンでは凛とする、ギャップを持ったキャラクターだと思います。でも揺るがない一本の芯を持っていて、真っすぐで素直な性格が魅力です。魔法学校に通っているのに魔法に無知という異質な存在で、空気が読めない発言をして周囲を驚かせることもありますが、そこが彼女のかわいいところでもあります。また、ナナオのこういった行動・発言によって物語が動くこともありますし、この世界にスパイスを加える重要な存在だという印象を持ちました。

――それらのキャラクターをどう捉え、どのように演じようと思ったのでしょうか。

田丸:オリバーを演じる上で「余計なことはしない」と決めました。印象にも繋がるのですが、彼は“普通”なので。言葉を強く強調したり、抑揚をつけるとオリバーには不要な“意味”が生まれてしまので、基本的なセリフを発するときはナチュラルさを意識しています。「ここはちょっとこうしてみようかな?」って工夫したくなるシーンもたくさんあるんですけどね(笑)。でも、やりすぎるとキャラがだんだん濃くなっていくんです。オリバーはそうであってはならないと思い、「余計なことはしない」と常に意識して演じました。

貫井:田丸さんの言う「ナチュラル」とは意味合いが違うのですが、ナナオは私・貫井自身のナチュラルなところを活かして演じようと思っています。というのも、声の出し方などが、友達といるときの私の地声に近いんです。私はお芝居をする時、「ここはもっと可憐な音で」「ここは控えめ目に」など声をチューニングしてそのキャラクターを表現することがあるのですが、主に日常シーンのナナオは、すごく自分の普段の喋りに近いところで演じられている感覚があります。といっても性格は全然違うので、頭に浮かんだ言葉をすぐ口に出したり、考えるよりまず行動するという、ナナオの元気で勢いのある性格を表現できるように意識しました。

アフレコ秘話、そして演じ合う互いの魅力

――監督から指示を受けて演技について練り直した部分はありますか?

田丸:キャラクター性については何も言われず、最初に自分で作っていったものがそのまま採用されました。「ここはもうちょっと元気に」などの細かいニュアンスの指示はたくさんありましたけどね。ただ、ある敵を倒すシーンにおいては、最初は強い憎しみを持って演じたのですが「もっと仕事を淡々とこなすような演技にしてほしい」と言われました。その理由として、彼の生い立ちがあってのことだと説明を受けて「なるほど」と納得しましたね。

――では、特にリテイクが入った箇所はなかったんですね。

田丸:言いづらい呪文があって、そこにリテイクが入ったくらいですね。「フランマ」(※火炎呪文)なのですが、オリバーとしてその言葉を言おうとすると、何故か上手く言えなくなってしまいました。これまでも多くの作品で呪文や必殺技を使う機会があったのですが、こんなにリテイクが入ったことは一度もなかった。「フランマ」だけですよ、僕を苦しめた呪文は(笑)!

――(笑)貫井さんはいかがですか?

貫井:私も基本的には、最初に作っていったものでOKをいただけたので、私の思うナナオを演じさせていただきました。日常会話ではハキハキと明るく話す一方で、戦闘シーンではハキハキとは違う「しっかり」とした言葉で相手に言葉を投げかけることを意識しました。

――呪文は大丈夫でしたか?

貫井:ナナオは「魔法って?」「呪文ってなんぞ?」というところから始まるので、あんまり呪文を唱えないんですよ。私は逆に唱えたいのに(笑)! なので、呪文を使うときは「たどたどしい感じで」という指示をいただきました。

田丸:同じ「フランマ」という呪文でも、台本ではナナオの部分だけひらがなになってるんですよ。

貫井:そうなんです。他の皆さんはカッコよく呪文をきめてると思いますが、ナナオだけは、同じ呪文でも少し違う響きに聴こえていましたら嬉しいです…!

――では、それぞれが演じるオリバーとナナオの印象も聞かせてください。

田丸:きっとナナオはナナオなりに考えて行動しているとは思うのですが、エスメラルダ校長に対してすごく気軽に話すシーンがあって、何故か僕自身も「やめとけやめとけ!」となってしまいました(笑)。でも、他の人がそんな態度を取ったら「喧嘩売ってんのか?」となるのに、ナナオは許してしまう魅力がある。すごく純粋で真っすぐで、オリバーの周りにこれまでいなかったタイプなので、彼もそこに魅力を感じたのではないでしょうか。

貫井:オリバーは、面倒見が良いお兄ちゃんみたい。みんなのことを支えてくれるので、精神的支柱になっているキャラクターだと思います。落ち着いていますがクールというわけではなく、戦闘シーンで声を張り上げることもあって、そのギャップに惹かれます。

――田丸さんがオリバー、貫井さんがナナオを演じているからこそ魅力的に感じる部分はありますか?

田丸:裏がない芝居って、意外と難しいんです。ちょっとセリフに力が入ってしまったり、語尾に少し息が混じってしまうだけで裏があるキャラクターに見られてしまう。でも、貫井さんはそんな裏がないお芝居ができる技量を持った方だと1話の収録の時に感じました。

貫井:オリバーのことを「精神的支柱になっているキャラクター」だと言いましたが、田丸さんもそうなんです。お隣にいてくださるからこそ、安心してナナオが演じられる。お芝居でも支えられていました。

――そんな楽しいメンバーが演じるキャラクターたちも魅力的です。他にも個性的な登場人物たちがたくさんいますが、気になっているキャラクターはいますか?

田丸:これは悩む……。

貫井:全員濃いですからね(笑)。

田丸:でもやっぱり、エスメラルダ校長(CV:田中敦子さん)ですね。第1話で声を聞いた時に「俺はこの声に勝てるのか?」と思ってしまいました(笑)。その声に生徒たちが委縮してしまう描写がされているのですが、僕もその圧に圧倒されてしまったので。オリバーとしても、声優・田丸篤志としても気になるキャラクターです。

貫井:私は、一応ナナオはヒロインだと伺っていたんですけれど……。

田丸:(笑)

貫井:田丸さんも思いますよね? ヒロインポジションにいるのがピートだってこと!

田丸:ポスターを見てください。オリバーに守られている感を一番感じるポジションにピートがいるんですよ(笑)。

貫井:放送をぜひ楽しみにしていただきたいのですが、ピートは大事なところでよく転ぶんですよ。あざとい(笑)! それに対してナナオは守ってあげたくなるというより、むしろとても頼りになるポジション…。

田丸:戦闘になった時、放っておいても大丈夫だしね。

――すごく強いですもんね(笑)。

田丸:そうなんです。ナナオは誰よりもめちゃくちゃ強いんですよ! それに比べてピートは……「守ってあげないと!」という気持ちになる。

貫井:カティも庇護欲が湧くキャラクターですし、ヒロインポジションが危うい!…まぁでもそこがナナオの魅力なんですけどね。そういった別の意味で、ピートが気になっています(笑)。

――舞台となるキンバリー魔法学校は、卒業できるのは生徒の八割で、残りは死亡、再起不能、行方不明になるといいます。2人はこの学校で生き残る自信はありますか?

田丸:僕はすぐ転校すると思います。原作や台本を読んでこれから起こる展開をわかった上で言いますが、人間は絶対にここで生き残ることはできないと思います(笑)。

――すごく憧れて入った学校だとしても?

田丸:う~ん、だったら調子に乗らないように気を付けて生活すると思います。先輩たちに目をつけられないように、学校内にある危険な場所に近づかないように……(笑)。

貫井:私は小中高の時そこそこ成績が良かったので、可もなく不可もなく卒業できると思います(笑)!

田丸:点数が高いと先輩に目を付けられちゃうよ?

貫井:目を付けられないぎりぎりのところを狙います!でも、ちょっとは刺激が欲しいので…危ない階層の手前でちょっとケガをするくらいで帰って来たいですね(笑)。

田丸:ちょっとのケガなら魔法で治せるしね。

貫井:腸(はらわた)が出てもなんとかなるみたいなので(笑)。多少のケガを負って、「こんなことがあったんだよ」と武勇伝にします。そういう思い出だけ作って、無事に卒業したいですね(笑)。

――では最後に、視聴者にメッセージをお願いします。

田丸:ほぼすべてのキャラクターが何かを抱えていて、それに抗う姿や目的に向かって突き進む姿が魅力的に描かれています。最初に話した作品の印象で「ワクワクとシリアスの融合」と言いましたが、その絶妙なバランスに絶対にハマると思うので、そういったところに注目して是非アニメを見てみてくださいね。

貫井:命がけで学校に通う中で、メインキャラクターの 6 人や関わる人たちが照れちゃうくらいの眩しい青春を送っています。その結束力や絆、それぞれの成長に注目してください。バトルシーンの凝ったエフェクトや音楽、演出が本当にすごいです!ぜひ細部まで楽しんで下さい!

作品情報

「このライトノベルがすごい!2020」(宝島社刊)文庫部門・総合&新作ダブル 1 位を獲得した電撃文庫が誇る大ヒットシリーズ「七つの魔剣が支配する」(KADOKAWA 刊)のアニメがついに 2023 年 7 月、放送開始!
舞台は名門・キンバリー魔法学校。ここでは卒業までに2割の生徒が、魔道の探究により再起不能や行方知れず、または発狂した末に死に至る。いわゆる、“魔に呑まれる” という——。

その入学式、覚悟と共に学園の門をくぐる1人の少年・オリバー=ホーン。穏やかで理性的だが、その胸の奥底に秘めたる意志を感じさせる。そんな彼を中心に、様々な出身、背景を持つ少年・少女たちがこの学校に集い、魔法使いとなるべく切磋琢磨していくが、魔境と呼ばれるキンバリーの脅威が彼らに牙をむく。
仲間と出会い、様々な困難に立ち向かうオリバーを待ち受ける運命とは――

【原作】宇野朴人(電撃文庫/KADOKAWA刊)
【放送】TOKYO MX・BS1 ほか
【配信】dアニメストア、ABEMAにて地上波同時・先行配信・毎週金曜24時30分〜 ほか
【キャスト】田丸篤志、貫井柚佳、山田美鈴 ほか(敬称略)
【アニメーション制作】J.C.STAFF

2023宇野朴人/KADOKAWA/キンバリー魔法学校

著者 編集部 アニメ情報担当