PS5移植にモバイル版も視野…「パルワールド」任天堂と係争発展も前向きな姿勢 TGSでは一つの注目の的に


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任天堂との特許訴訟問題で関心を集めたポケットペア社のゲーム「パルワールド」をめぐり、直近1週間内でモバイル版やコンシューマ移植を含めたさまざまな展開が発表され、大きな注目が寄せられている。

先月19日、任天堂はポケットペア社に対してゲーム「パルワールド」ての特許権侵害とみられる訴訟提起を株式会社ポケモンと共同で行ったと発表。同日にポケットペア社側も公式声明を発表し、正式に提訴内容を受理していないことなどを理由とし「パルワールドの運営及び提供においても、中断や変更の予定はございません」との方針を伝えた。

「中断や変更の予定なし」則り新展開続々

この件が広く伝えられたのち、ポケットペア社は先月末にパルワールドのPlayStation 5版を世界68の国と地域で発表、同日より配信を開始した。配信開始当時は対象地域に日本が含まれておらず、任天堂との係争が少なからず影響しているとの見方が強まっていた。

しかし昨日4日の午後、ポケットペア社が突如として日本国内でのPlayStation 5版の配信を開始。「発売が遅れてしまい、大変申し訳ございませんでした」「PS5版でも魅力的かつ大規模なアップデートを今後も続けてまいります」とのコメントを添えた。リリース遅延に関する説明はなかったものの、ゲーマーの間では「もっと遅れると思った」などとの声も上がり、意外だったようだ。

また、パルワールドは先日2日に新たな展開として、「PUBG」で知られる韓国のクラフトン社と同タイトルのモバイル版開発に関する契約を締結したことを伝えた。クラフトン社によれば、モバイル版企画はPUBGの開発スタジオが担当するといい、オリジナルの魅力を忠実に再現することを目指すとしている。

プレスリリース
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TGSでは「グッズ販売」など初の試みも

これら一連の動きは19日のポケットペア社の「変更の予定はない」との方針に則ったものであり、なおかつ一年で最もゲームに注目が集まる「東京ゲームショウ2024」の開期周辺に当初から発表を予定していたものとみられる。

9月26日から29日まで開催された「東京ゲームショウ2024」に出展したポケットペア社は会期中、自社ブースを7ホール(幕張メッセ)にて大々的に構えており、現地では国内初となるリアル会場での物販や多くの公式コスプレイヤーによる撮影会などが催された。

「TGS2024」の様子

同社ブースが通路を挟んで「カプコン」のかい側にあったこともあり、一般公開日はその周辺を通り抜けるのが困難なほどの混雑ぶりを見せた。現場近辺では「パル(キャラクター)」たちの着ぐるみグリーティングで盛り上がりを見せた傍ら、通路からは「任天堂」といった同社に関するワードが話し声から聞こえてくるなど、その点ではある意味TGSでの“注目の的”となっていた。

これらの対応や公式声明を鑑みると、ポケットペア社は未だ任天堂からの提訴内容を認知していないものとみられ、プラットフォーム拡大という「前向き姿勢」はしばらく続くことが想定される。今後の発表にも引き続き注視していきたい。

著者 山本晃平